腰痛剣士と肩凝り魔女・本文 #05-03: 月が、綺麗だね。 ←previous 浴場への途中で、ウェラを背負ったリヴィとすれ違った。「ウェラってば、お風呂で限界きてもうてな。浴槽でうつらうつらし始めたもんやから、慌てて引き上げてきた」「おつかれ、リヴィ」「おおきに、パパ」 そう言いつつ、リヴィは俺た... 2021.12.16 腰痛剣士と肩凝り魔女・本文
腰痛剣士と肩凝り魔女・本文 #05-02: アタシは自分の生き方を肯定したいだけなのさ ←previous タナさんはベッドの真ん中まで移動すると、俺に背を向けて帯を外した。そしてするりと肩をはだけさせる。頼りないランプの炎が、|嫋《たお》やかにタナさんの白い背中に影を落とす。外はもうすっかり暗い。月すらないのではないかと言う... 2021.12.16 腰痛剣士と肩凝り魔女・本文
腰痛剣士と肩凝り魔女・本文 #05-01: くつろぎの時 ←previous 異端審問官カディルは、よほどタナさんが怖かったらしい。混乱冷めやらぬこの都市に於いて、驚くべき手際で宿やらなにやらを手配した。もちろん、実際に動いたのはあの初老の役人たちであったわけだが、それでも「異端審問官名義」でそれ... 2021.12.16 腰痛剣士と肩凝り魔女・本文
腰痛剣士と肩凝り魔女・本文 #04-08: 魔女の印 ←previous さて。 俺は役人と兵士に取り囲まれ――もとい、護られている異端審問官を見た。カディルとか言ったな。広場の周囲には人々が集まりつつあった。野次馬根性ご苦労さまという気持ちはあったが、今はそうでなくては困る。一人でも多くの人... 2021.12.15 腰痛剣士と肩凝り魔女・本文
腰痛剣士と肩凝り魔女・本文 #04-07: 魔女たち ←previous 爆炎――そう呼ぶに相応しい炎が広場を包み込む。俺はウェラを背中に守ろうとしたが、全方位が炎に彩られてしまっている。もはや逃げ場はなかった。「パパ、精霊さんも、限界……!」「そうだろうな」 精霊の守護が破られた時、この広場... 2021.12.15 腰痛剣士と肩凝り魔女・本文
腰痛剣士と肩凝り魔女・本文 #04-06: アタシの中の悪魔が囁くのさ ←previous ウチ、もう見てられへん――リヴィがガナートの剣を抜いた。炎の柱が俺とリヴィの間に生まれる。「ウチな、やっぱりじっとしてるんは苦手や」 炎の生み出す風に髪を|弄《もてあそ》ばれながら、いつになく真面目な顔でリヴィが言う。「... 2021.12.15 腰痛剣士と肩凝り魔女・本文
腰痛剣士と肩凝り魔女・本文 #04-05: 魔女と元魔女 ←previous 役人は兵士たちに命じて、異端審問官を広場の中央に引っ張り出した。異端審問官はまだ何事か喚いていたが、役人や兵士たちは取り合わない。彼らなりに思うところがあったのだろう。「異端審問官は魔女狩りの大将だろう?」 俺は近くまで... 2021.12.15 腰痛剣士と肩凝り魔女・本文
腰痛剣士と肩凝り魔女・本文 #04-04: 青い焔 ←previous 衝撃波をまともに受けて、俺たちは背中を地面に打ち付けることになってしまった。「ちっくしょう……」 完全に腰が《《いって》》しまった。足先の感覚すらない。起き上がることもできない。「パパ、大丈夫?」 ウェラが俺を覗き込みつ... 2021.12.15 腰痛剣士と肩凝り魔女・本文
腰痛剣士と肩凝り魔女・本文 #04-03: 魔女狩りと処刑台 ←previous 店を出るなり、俺たちは身動きが取れなくなった。凄まじい数の人々が通りを埋め尽くしている。とにかくどこを見ても人、人、人……。「タナさん、これって」「魔女狩りさね」 タナさんは忌々しげに吐き捨てた。「人々の顔を見てごらんよ... 2021.12.15 腰痛剣士と肩凝り魔女・本文
腰痛剣士と肩凝り魔女・本文 #04-02: 城塞都市 ←previous それから一週間少々移動して、俺たちはベラルド子爵領とキンケル伯爵領の境界線上にある城塞都市に辿り着いた。旅の途中ではトラブルもないではなかったが、大抵は騎士たちがなんとかしてくれた。場合によってはタナさんがなんとかした。... 2021.12.15 腰痛剣士と肩凝り魔女・本文