治癒師と魔剣・本文

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DC-17-06:聖司祭と大魔導

 同じ頃、カヤリはクォーテル聖司祭の私室に姿を見せていた。クォーテルは慌てた風もなく尋ねる。「結界を抜いてくるとは……大魔導か」「お初にお目にかかる」 名乗る必要はなかろうと、カヤリは判断した。大魔導と理解されていればそれで十分だった。「一...
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DC-17-05:宣告は為され……。

 ファイラスは剣に手を掛けていた。だが、グラヴァードには全く動じる様子がない。ファイラスを脅威とは認識していないからだ。「言い訳?」 グラヴァードはゆっくりと首を振った。「無用だ、そんなものは」「なんだと」「十万を救うために犠牲になった千人...
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DC-17-04:生命の天秤

 待ってください――ケーナが前に出た。「イレム様、ファイラス様、下がってください。彼の狙いは私です」「しかし、ケーナちゃん」「お願いします、離れてください」 ケーナの有無を言わせぬ言葉に、イレムは頷いた。そしてファイラスを引き摺るようにして...
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DC-17-03:虐殺者の出現

 その静かな問いかけに、ケーナはしばらく答えようとしなかった。ただじっとイレムを見て、まるで彫像のように固まっていた。「ケーナ?」  事情を知らないファイラスが怪訝な声を発すると、ケーナはようやくファイラスに顔を向けた。凍てついた石像のよう...
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DC-17-02:鞘

 イレムは素早く周囲を確認する。周囲では兵士や神殿騎士たちがそれぞれの仕事に駆け回っていたが、誰もイレムたちの会話に注意を払ってはいない。イレムは燃え盛る炎が爆ぜる音に隠すように声を潜め、言う。「妖剣テラはアイレスのゼネス聖神殿にあった。つ...
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DC-17-01:幽かに燃えるもの

 幸いにしてファイラスとケーナは、カヤリの魔法の範囲にはいなかった。だが、|彼我《ひが》の軍勢の混乱状態があまりにもひどく、イレムの元へ合流するのに相当に手間取ってしまった。「イレム! 大丈夫か! 敵の総大将は!?」「あいつ、強ぇわ」 ケー...
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DC-16-02:灼熱の絵図

 間違いないな――イレムは確信する。先程までの攻撃魔法の威力と精度、そしてこの剣さばき。そして現在のディケンズ辺境伯領を巡るアイレス魔導皇国の立ち位置。それらを総合すると、この目の前の男は、|神帝師団《アイディー》と並び「最強」と称される、...
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DC-16-01:イレムとエリシェル

 グラヴァードの予想は見事に的中した。エリシェルに率いられたディケンズ軍は、混乱を好機と捉え、帝国軍陣地へと総攻撃を仕掛けた。その兵力には不死怪物と化した帝国軍の兵士も多分に含まれていた。もとよりの戦力差に加え、不死怪物、異形が総動員されて...
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DC-15-03:運命と魔神

 それからすぐに、カヤリはグラヴァードと合流した。グラヴァードもまた、アルディエラム帝国軍の本陣が見えるところまで移動してきていた。赫々と燃え上がる陣地はいまや混乱の渦中だ。 カヤリがその背中に向けて淡々と状況を報告すると、グラヴァードは本...
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DC-15-02:宣告

 あなたでは私には勝てない――カヤリは再び断定口調でそう告げた。「私に勝つ気なら、その魔剣の力を解き放つしかない」「それも魔剣を奪う方便じゃない?」 ケーナは口の端を流れる血を|拭《ぬぐ》う。カヤリは腕を組む。が、そこに隙はない。「ニ年前に...
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