治癒師と魔剣

治癒師と魔剣・本文

DC-15-01:圧倒する力

 見つけた! ケーナの目が獲物を視認した肉食動物のそれよろしく、大きく見開かれる。敵の魔導師は本陣の外縁部にいた。そして転移魔法で移動を繰り返しながら、虐殺劇を繰り広げている。両手には刀があり、無詠唱で火球を放つ。ただものではないことは明ら...
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DC-14-02:血まみれの儀式

 魔力の密度はさらに上がる。圧死させられそうなほどの重さが、ファイラスの全身にのしかかる。ファイラスはたまらず膝をつく。ケーナは喘ぐように空中をひっかき、やがてファイラスの背中に爪を立てた。その力は信じられないほど強く、ファイラスは思わず奥...
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DC-14-01:歪んだ力

 ファイラスは隔離病棟の入り口に見知った馬車が止まっているのを確認した。完全に息が上がっていたが構ってはいられない。今この建物の中で、なにか良からぬことが起きている――ファイラスは確信していた。「おっと、今は通行止めですよ」 バレス高司祭の...
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DC-13-04:露呈する姿

 数分後、ケーナが本陣に戻ってきた時には、もはやそこは混乱の|坩堝《るつぼ》と化していた。魔導師による急襲の前には、負傷者を多く抱えた兵士たちには|為《な》す|術《すべ》もない。どこから飛んで来るかもわからない、即死級の攻撃魔法が降り注いで...
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DC-13-03:魔導師たちとの死闘

 新たな|魔導師《エモノ》の位置はすぐに分かった。彼らは魔法を使って完全に姿を消していたが、彼らの位置には不思議な魔力が渦巻いていた。 やっぱり誰かが|印《いん》を? 考えるのと同時に、ケーナは|短距離瞬間転移《ヴァーレッド》を行使して動い...
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DC-13-02:狼の異形と召喚師

 その狼は巨大な熊、いや、それ以上に巨大だった。完全な闇色のその身体は、夜闇と影に完全に溶け込んでいる。|爛々《らんらん》たる赤い目だけが闇の中に浮かんでいる。 狼の異形も倒す必要はあるが、これがいるということは、そばに異形を召喚した術師が...
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DC-13-01:殺意の予感

 蝿の巨人との戦いで負傷した兵士を一通り治療し終わる頃には、さしものファイラスも疲労困憊だった。連日の戦闘と治療に駆け回っていた疲れも出たらしい。慣れない殲撃や、慣れない戦闘用魔法を使ったりしたこともまた、その要因だっただろう。今のファイラ...
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DC-12-03:黒騎士 vs 大魔導カヤリ

 ディケンズ辺境伯の居城からでも、はるか南方の爆発は見えた。今、エリシェルは最前線の出城にはいなかった。本国に召喚されていて、そこから戻ってきたばかりなのだ。一両日中に最前線に戻る|手筈《てはず》になっている。 エリシェルはバルコニーにて生...
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DC-12-02:聖魔導戦技

 イレムの殲撃が蝿の巨人の顔面を直撃する。防御力の皆無な蝿の巨人の頭部は、文字通りに肉片と化した。その構成素である腐肉と酸の体液が半径数十メートルに渡って撒き散らされる。兵士たちは早々に距離を取っていたので被害はほとんど出ていないようだった...
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DC-12-01:蝿顔の巨人

 ファイラスたち神殿騎士の到着により、最前線の兵士たちは適切な治療を受けることができるようになっていた。エウドへの後送手段も確立され、多くの負傷者が一命をとりとめた。また、エウドで治療を受けた兵士たちの少なくない数が最前線に戻ることを希望し...
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