物語

赤の魔神と錬金術師

赤の魔神と錬金術師-INDEX

一言で言うと、錬金術師シャリーは、飢えていた。とても飢えていた。今や手元にあるのはお手製の栄養ドリンクだけ。彼女はそれだけで一週間を生き延びた。今や体液のことごとくが栄養ドリンクに置換されてしまっているのではないかというほど、彼女は栄養ドリンクを生成しては摂取して、それでなんとか生き延びていた。
大魔導と闇の子

大魔導と闇の子-INDEX

少女は、十歳にして大魔導の力を発現し、その結果、故郷の村を灰燼に帰してしまう。 大魔導ハインツは、この稀有な能力を持つ少女――カヤリ――を妖剣テラの贄に選ぶ。そして部下の"炎使い"ヴィーに命じて、テラとの魔力結合実験に挑む。 ハインツとハインツの所属するギラ騎士団の真の目的に気が付いた大魔導グラヴァ―ドは、部下の"人形師"トバース、闇エルフの"歪曲者"セウェイらに命じ、カヤリの奪取とハインツの殲滅を命じる。 グラヴァ―ドとハインツ、二人の大魔導は、カヤリを巡って睨み合う。 互いの掲げる正義はぶつかり合い、そして――。
治癒師と魔剣

治癒師と魔剣-INDEX

人は龍の屍の上で、幻想という現実に生きる――。神官であるファイラスと、かつてファイラスに救われた少女ケーナ。そして二人の親友でもあり、次期騎士団長候補でもある凄腕の騎士・イレム。三人は共に北方の反乱鎮圧の増援として派遣されることになる。しか...
ロストサイクル・本文

LC-99-999:エピローグ

 二〇一九年四月。 僕らは晴れてH大学の大学生となった。 何事もなかったかのように。 だけど、そう――僕らの記憶は完全には消えなかった。 あの夜の記憶は、《《写真のように》》僕らの頭に焼き付いている。僕とルリカは互いのその脳内写真が、僕らそ...
ロストサイクル・本文

LC-06-002:バレットストーム

 真っ先に爆炎を上げたのは96式装輪装甲車だった。分厚い装甲を持つはずの車両が、まるで紙を引き裂くように破壊された。その爆風に飲まれ、タケコさんも宝生も大きく吹き飛ばされた。タケコさんは愛車のWRXのボディに人形のように撥ね上げられ、宝生は...
ロストサイクル・本文

LC-06-001:デュエリスト&インターセプタ

 タケコさんの強さは鬼神のようだった。十名を超える敵を前に、一歩も退かないどころか、圧倒していた。剣道四段とかそういうのでは到底計り知れない、圧倒的な実戦経験……だろうか。ともかくその動きはあまりにも洗練されていてハリウッドのアクション映画...
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LC-05-005:未来と運命と

 僕らの行く先に一つの影があった。「還屋……」 僕はそのツインテールの姿をすぐにそうだと同定する。この場に現れ得る人物といえば、さっきの白衣の男と、この還屋未来以外にはないと思っていた。「ようこそ、宇宙の|狭間《はざま》へ」「宇宙の狭間?」...
ロストサイクル・本文

LC-05-004:開示

 潜伏期間というのはな――男は律義に説明を始めた。「C的存在のネットワークに組み込まれるための準備期間。つまり、記憶の主体をこの世界の物から俺たちの概念へと組み替えるための並行運用期間のようなものだ」「やっぱり支配体制を変えるってことじゃな...
ロストサイクル・本文

LC-05-003:美味兎屋

 |美味兎屋《みみとや》ってどういう意味なんだろう。 男の後ろをついて玄関に入り、靴を脱がぬままに中に入っていく。そこは外観からは想像もつかない程に広く、長い廊下を歩く必要があった。内装はシンプルだったが、金色の間接照明が絶妙にアンニュイな...
ロストサイクル・本文

LC-05-002:可能な限り完璧なる立方体

 僕は走った。涙が出るほど肩が痛んだが、それでも。 僕を追ってきたのは二人。どんな服装かまで見る余裕はなかったけど、とにかく黒い服を着ていた。その手には鉄パイプのような棒がある。銃でないのは幸いだったが、持っていないとも限らない。 タケコさ...
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