KenIsshiki

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OreKyu-04-002:世界は赤く染まる

「不完全?」 俺たちは思わず首を傾げる。会長と社長は同時に頷いた。「あれはゴエティアと結びついて初めて効力を発揮する。今のままでは単に刻印を施していくだけの能力しか持たない」「刻印?」「墨川」 俺の二の腕あたりをつついて、メグ姐さんが声を掛...
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OreKyu-04-001:会長と社長

 最上階は会長専用フロアで、俺たちはそれ以外の階の訪問を許されなかった。ボタンが反応しなかったのだ。 部屋の前に立つと、前触れもなく電子ロックが外れ、ドアがスライドして開いた。その奥に広がっていた広大な部屋は、文字通りにがらんとしていた。向...
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OreKyu-03-009:一時離脱の交渉と結果

 俺たちは再びゴエティアの部屋に戻り、中央の巨大なディスプレイの前に立った。それとほぼ同時に、そこに霞の姿が浮かび上がる。『鍵は見つけられたのかしら?』「いいや、残念ながらまだだ」 俺は首を振る。メグ姐さんは俺の左手を握り締めていた。「とこ...
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OreKyu-03-008:シンギュラリティ到来のためのパスフレーズ

 頼むと言われたのは嬉しいのだが……。しかし勝つ算段は未だに生まれてきていない。そもそも人間二人で考えたところで、あの高速演算装置を有したゴエティアに|敵《かな》うはずもない。「だがな、奴は何かキーワードを求めているんだと思う」「キーワード...
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OreKyu-03-007:頼むぞ、相棒

 どうしたらこの状況を打破できるというのか。俺とメグ姐さんはその部屋から出て廊下で考え込んだ。廊下と言っても奴の、ゴエティアの監視下であることは疑いようもない。完全に情報を秘匿することなど不可能だという事は分かっていた。「ここからは出られそ...
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OreKyu-03-006:仕組まれた五年間

 その瞬間、その大きなディスプレイの中に一人の女性の姿が現れた。それは俺の良く知る——。「嘘だろ」 思わず声が掠れる。そこにいたのは俺の彼女、|桐上《きりかみ》|霞《かすみ》だったからだ。『ようこそ、次なる世界の入口へ』「なぜその姿なんだ、...
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OreKyu-03-005:魂の在処

 知恵比べ? 押せないエレベータのボタンを連打しながら、俺は頭の中で今までのやり取りをぐるぐると|反芻《はんすう》する。「おい、墨川、いつまでエレベータにこだわっている。ついでに言えば階段もダメだった。トイレが使えるのはまだ良心的だな。うん...
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OreKyu-03-004:ゴエティアとの対面

 翌日、牧内社長が直々に、俺たちを「開発部」へと案内した。そこは会社の地下深くにあり、異様なほど広大な場所だった。だが、そこに人間はいない。ただ無数のディスプレイが並んで、一瞬も止まることなく何かを映し出しては消していた。「開発部というのは...
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OreKyu-03-003:悪魔の証明

 俺の言葉に、メグ姐さんはフッと息を吐く。「実体がある? 本当に? 見たの?」「いえ、見てないですけど。でも」 俺は手を休めずに言い募った。「プログラムってのはソースの集まりです。ソースのないプログラムは存在しない」「ソースってのはエディタ...
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OreKyu-03-002:ガンタンク生産中のダイアログ

 俺たちはホテルの部屋で黙々とガンタンクを組み立てている。牧内社長からの言葉があまりに衝撃的で、俺はホテルに帰ってからほとんど口を開けなかった。それはメグ姐さんも同様なようで、口をへの字に曲げて、黙々とガンタンクの履帯を組み立てていた。ちな...
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