頭がクラクラする。意識が朦朧として、まるで湿った
──集団暴行?
ああ。そうだ。
そうなのだ。集団暴行だったのだ。
あの時、突然後ろから押さえられ、暗いところに押し込まれた。誰がやったのか、何人がやったのか、それはわからない。覚えているのは、真っ暗だったこと、気がついたらゴミの山に埋まっていた事、それだけだ。得体の知れない虫が何匹も、服の内に外にとちょろちょろとしていた。つんとした悪臭は潰してしまった虫の体液由来なのか、それとも周囲のゴミから立ち上るそれなのか。いずれにしても気持ちの悪いものだ。
全身が痛い。指先は擦り切れて、まるで目の粗い
幸い、今は夜中だ。ごく
だいたいに於いて「誰かが私を見ている」なんて思うのは妄想だ。誰も私なんか見てはいない。見たとしても数秒後には彼らの中の私の姿は、極わずかな特徴しか描かれていないカオナシになっている。そのカオナシは確かに私を
――はて?
私は何でそんなことを考えたのだろう。そういえば、こうなる前の私は何をしていたんだっけ。
身体が重い。関節という関節がギコギシギコギシと音を立てているようだ。油が足りない。目に痛みがあって、まるで意思とは無関係に上下運動をしているようでもあった。クラクラと世界が揺れる。まるで誰かが
そういえば。
そういえば、私は
電柱から手を離せないまま、私は今歩いてきた道を思い出そうと試みる。確かに私は曲がったり横断歩道を渡ったりしてきているようだ。となれば、私は無意識に
頭の内側にチリっとした痛みを感じて視線を上げると、ギリギリ二車線の道路を渡った先に、奇妙なほど正確な立方体が見えた。普通の住宅街の中にある立方体。
だが、私の身体はどうやら
玄関フードのスライドドアは開けられていた。その奥には普通のドアがあり、おそらくは……というより普通は玄関に通じている。ドアの
これはなんだ?
ビミウサギヤと読むのだろうか?
私は一秒から一分程度、その場で真剣に考えた。
「ミミトヤだ。入れ」
一切の兆候無しにドアが開き、白衣にメガネといった装束の男が現れた。私は驚いて尻餅をついてしまった。傍から見れば、玄関のドアに弾き出されたように見えるだろう。
「大事に扱え、壊れたら面倒だ」
「あ、はい、すみません」
反射的に謝る私。謝ってしまう私。意味もわからないのに、何が誤っているのかもわからないままに謝っていた。これが私という人物の性格なのだろう。卑屈だ。なんて卑屈なんだ。
私はまるで他人事のように、私を分析していた。いつものように。
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