腰痛剣士と肩凝り魔女・本文 #03-03: タナさんの告白 ←previous このまま屋敷にとどまっていてもあまり良いことはなさそうだ――という直感めいたものはあったのだが、なにしろ今の俺は身動きができない。ガナートの部下によってこの豪華な客室に連れてこられたところまでは良かったが、そこまでだった... 2021.12.15 腰痛剣士と肩凝り魔女・本文
腰痛剣士と肩凝り魔女・本文 #03-02: 貴族の血 ←previous 俺たちは夜中に差し掛かる頃になって、ようやくベラルド子爵の邸宅――というより城――に到着した。その巨大で豪奢な建物が、ベラルド子爵の権勢を物語っている。王から辺境を任される領主というのは、必然その権力が増すようにできてい... 2021.12.15 腰痛剣士と肩凝り魔女・本文
腰痛剣士と肩凝り魔女・本文 #03-01: 竜族の少女 ←previous 赤毛の少女はリヴィと名乗った。大きな青い瞳が、今の戦いの興奮からか、夜の町灯りを反射して|爛々《らんらん》と輝いていた。「よろしゅうな。おじさん、おばさ――」「やり直しだよ、リヴィ」「あ、はい。おねえさん!」「よろしい」... 2021.12.14 腰痛剣士と肩凝り魔女・本文
腰痛剣士と肩凝り魔女・本文 #02-05: 狂った精霊 ←previous 翌日の夕方、まもなく夜になろうかという頃になって、俺たちは大きな街に入った。この都市の真ん中に、ガナートとその父の――即ちベラルド子爵の邸宅がある。「なぁ、ガナート」 すっかり観念しているガナートは、もう自由にしてやった... 2021.12.14 腰痛剣士と肩凝り魔女・本文
腰痛剣士と肩凝り魔女・本文 #02-04: 魔女狩りの動機 ←previous 何より嬉しかったのが、この「幌馬車」という移動手段を確保できたことである。夏の日差しを防ぎ、雨もある程度しのげる。そしてなにより、移動しているにも関わらず、横になっていられるのだ! すばらしい、自動移動手段。とはいえ、今... 2021.12.14 腰痛剣士と肩凝り魔女・本文
腰痛剣士と肩凝り魔女・本文 #02-03: 貴族の魔女狩り ←previous カルヴィン伯爵を訪ねる旅は、なかなか進まない。原因は言うまでもなく、俺の腰だ。三時間に一回はタナさんのマッサージを受けたり、湿布や灸を据えてもらったりしていた。ああ、そうそう。タナさんの湿布は実に良いものだった。じわっと... 2021.12.14 腰痛剣士と肩凝り魔女・本文
腰痛剣士と肩凝り魔女・本文 #02-02: 火の精霊と古びたカード ←previous 冷や汗だか脂汗だかよくわからないものにまみれて辿り着いた先には、ボロ布を|継《つ》ぎ|接《は》ぎにして作られたテントのような何かがあった。とてもじゃないが、「家」とは呼べない。だけど、焚き火の跡や、古びた鍋の類があるとこ... 2021.12.14 腰痛剣士と肩凝り魔女・本文
腰痛剣士と肩凝り魔女・本文 #02-01: 幼女(精霊使い?)登場! ←previous 休み休みながらも頑張って夜通し歩いた俺たち。幸いにして追っ手はなかった。俺も《《おまもり》》程度の役には立ったということだろうか。……そういうことにしておこう。 朝日がいい感じに顔を見せたくらいのタイミングで、俺たちはち... 2021.12.14 腰痛剣士と肩凝り魔女・本文
腰痛剣士と肩凝り魔女・本文 #01-02: 腰痛持ちと肩凝り持ちの目指す先は? ←previous 夜も夜、こんな良い時間に駅馬車が巡回しているはずなどない。そもそもここが辺境と言われる所以は、交通網があってなきが如しだからだ。だが、腰痛に効くという温泉の効能を聞きつけた俺は、無理を押して、商人の一隊にここまで連れてき... 2021.12.13 腰痛剣士と肩凝り魔女・本文
腰痛剣士と肩凝り魔女・本文 #01-01: 魔女狩りからの、旅立ち 王都からは気が遠くなるくらいに離れた、ドがつくほどの辺境の町。それでもまだ《《町》》と言える体裁を保っていられるのは、ひとえに豊かな温泉のおかげだ――温泉は良いものだ。とてもとても、良いものだ。 さて、そんな町で唯一の大きな温泉旅館の食堂... 2021.12.13 腰痛剣士と肩凝り魔女・本文