小説

大魔導と闇の子・本文

WA-07-07:悪魔召喚

 カヤリは霧の中心部にいる。トバースは確信をもつ。人形師とも呼ばれるトバースであったから、憑依可能な対象の位置はかなりの精度で検知することができる。 とはいえ、憑依したところでどうにもなるわけではない。 むしろそんなことをしたら自分の精神が...
大魔導と闇の子・本文

WA-07-06:対峙の時

 こんのクソ結界がぁっ! トバースはエクタ・プラムの強固な結界を恨む。正面から堂々と入れるなら苦労しない。だが今は、正規の入り口は、その全てがギラ騎士団によって魔法的に封鎖されていた。|銀の刃連隊《ガーナルステッド》の騎士であればあるいはそ...
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WA-07-05:ビジータイム

 このクソ立て込んでる時に、なんだってんだ……! ヴィーからの応答はすぐにあった。トバースにしてみれば、簡単すぎるほど簡単にヴィーの精神にアクセスできたことに驚きを隠せない。『このあたしの精神に乗り移ろうとか、ずいぶんと舐めたことをしてくれ...
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WA-07-04:犠牲の天秤

 空が震え、遠くグラヴァードの居城まで、魔力の突風が吹き付けてくる。「始まる、か」 未だに回復してこない魔力に|忸怩《じくじ》たる思いを抱きつつ、グラヴァードは目を閉じる。百キロ以上も北にあるエクタ・プラム。そこでは強烈にして凶々しい、魔力...
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WA-07-03:ヴィーの中の正義

 ヴィーはカヤリの中に流れ込む魔力の流れがわずかに停滞したその間隙をついて、カヤリを椅子から引きずり下ろした。その瞬間、まるで雷に打たれでもしたかのような衝撃が、ヴィーの全ての神経を同時に刺し貫いた。 バチンと音を立てて弾き飛ばされたヴィー...
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WA-07-02:魔神化

 部屋に入るなり、カヤリは例の椅子に腰を下ろした。妖剣テラとの接続の方法は、もう十分に心得ていた。這い寄ってくる妖剣の魔力に、自分の精神を同調させるだけでいい。実験当初は妖剣に主導権を取られていた。だが、今はもはや|渾然一体《こんぜんいった...
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WA-07-01:正義の所在

 ヴィーはうんざりとした様子でカヤリの部屋にやってきた。「どうしたの? 珍しいね?」「どうしたもこうしたも。地上は|銀の刃連隊《ガーナルステッド》やら|魔狼剣士団《フォールディラス》やらでいっぱいだ。蟻の這い出る隙間もありゃしない」「それっ...
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WA-06-02:剣槍の大魔導

 セウェイはグラヴァードからの要請を二つ返事で引き受けた。セウェイはグラヴァードに救われた三年前から、このようにして極めて従順である。「あなたの魔力を枯渇させるほどの魔法を使うなんて、その闇の子とか、興味あるわねぇ」 妖剣テラの――もとい、...
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WA-06-01:闇の眷属

 立て込んでるのよね、今。 グラヴァードからノイズ混じりの思念通話を受け取った時、セウェイは遥か南方にあるディンケル海洋王国にて、多数の《《異形》》と対峙していた。 闇のエルフは獲物以外の人間の前には姿を見せない。それは不文律だった。力ある...
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WA-05-03:背負える罪、背負えない罪

 まったく、不覚を取った。 足を組んでソファに座っているグラヴァードは、苦笑しながらそう言った。窓の外には月のない、凍てついた夜空が広がっている。「本当にどうなることかと思いました」 薬湯を持ってきたトバースがそう応じる。燭台の灯がトバース...
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