短編小説

短編・本文

輝く森の中心で、君は眠る

 今日は12月24日だ。気が遠くなるくらいの古の時代、この日は特別な日だったらしいね――僕は彼女にそう尋ねた。彼女は黙って頷いた。ほとんど真っ暗な森の中で、|幽《かす》かな星灯りをその身に受けた彼女の姿は、僕には輝いて見えた。 彼女は空を指...
短編・本文

スターダスター

 目に見える星の数を知っているかい? そう、わかりはしないんだ。だって、人それぞれ視力は違うし。見えてる色だって少しずつ違っている。そんな中で一律「何個」ということは本当にばかばかしい。まして推定の数を誇らしげに語るのもまたばかばかしいと思...
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エピローグ

 こうして一つの話は終わらずに終わる――。 私はそんな感傷に浸りながら、一人、心の中で決意する。あと少しでエピローグ。あと二話、いや、あと一話もあれば、エピローグに|辿《たど》り着けるだろう。だけど、どうしても続きが書けなかった。頭の中では...
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戦士の憂鬱

 こんなシケた店で飲んでるなんて、あんたよそ者だろ? わかるぜ、一人旅って奴だろ。こんな酔っ払いに絡まれても顔色変えねぇとか、本当に腕っぷしが強いんだな。俺にだってそのくらいわからぁ。 なぁ、ところであんた、光の戦士って奴を知ってるかい? ...
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我はΑなりΩなり、最先なり最果なり

 いっきなりタイトルが黙示録で始まってビックリされた方もいるかもしれないけれど、あたし自身が一番びっくりしたはずだ。考えてもみて! そもそも「ヨハネの黙示録」なんてね、聖書の一つも読んだことがないあたしにとって、アニメや小説の中でしか見たこ...
短編・本文

Let’s talk about space a little.

This short story (novel) was written by Ken Isshiki (i.e. Me). Its original was written by Japanese. It was translated b...
短編・本文

宇宙の話をちょっとだけしたいと思う(下)

(上)へ戻る 僕があの恒星系を旅立ってから、もう何億年経っただろう。僕が乗ってきた深宇宙探査機はとっくに壊れてしまっていて、僕はただの意識となってこの空間——何もないけど燦然とした空間——を漂っていた。 いや、漂っていたというとちょっと語弊...
短編・本文

宇宙の話をちょっとだけしたいと思う(上)

 また捕まえられなかったなぁ——アリスは悔しそうにつぶやいた。アリスは40年もの時間をかけて、間もなく太陽系から抜け出そうという所まで到達していた。地球までの距離はざっと210億キロメートル。地球と太陽の距離の約140倍。地球まで光の速度で...
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油色の町

 キラキラと降るそれらは、紡錘形に世界を|彩《ゆがめ》る。それらは水滴とも違う何かで、しかし巨大な水滴ともとれるような何か。それは七色に光を反射して、しかしどうやっても触れることは叶わない。虹のように掴み所がなく、一方で、その原理は未だ判明...
短編・本文

海の子

 手を伸ばし、光を掴む。揺れる光は手のひらの内側で砕け、やがて手は水の抵抗を抜ける。空中に突き出した腕に引き上げられるようにして、私の顔は海中から脱出する。空になった肺の内側に、塩辛い空気が流れ込んでくる。 海に漂うこの匂いは、昔から私の周...
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