ハイファンタジー

魔女のオラトリオ・短編

暗黒の魔女は、彼岸の色に染まる(4)

「魔女のオラトリオ」関連短編――。←(3)へ マグダレーナは意を決したように息を吸い、静かに話し始める。「その昔、アタシには息子がいたのさ。あんたよりもずっと小さかったね」「子どもが……」「アタシはその時も医者だったんだ。もちろんその頃はア...
魔女のオラトリオ・短編

暗黒の魔女は、彼岸の色に染まる(3)

「魔女のオラトリオ」関連短編――。←(2)へ ターニャは表情を|強張《こわば》らせたまま、マグダレーナの長身を見上げる。マグダレーナはターニャの肩を叩くと、「荷物をまとめよう」と言った。「先生、あの、先生の部屋の……」「あれはアタシの自己満...
魔女のオラトリオ・短編

暗黒の魔女は、彼岸の色に染まる(2)

「魔女のオラトリオ」関連短編――。←(1)へ マグダレーナはその場から一歩も動かない。飛来する光や炎の槍を時々払い落とすくらいで、動きも最小限だ。「そろそろあの子が戻ってきちまう」 それとも、《《真実》》に気が付いて動けないか? マグダレー...
魔女のオラトリオ・短編

暗黒の魔女は、彼岸の色に染まる(1)

「魔女のオラトリオ」関連短編――。 ターニャはよく働いたし、よく学んだ。文字を覚えたばかりだというのに、暇さえあればマグダレーナが持っていた数々の書物――主に薬草学の類のものだが――を読み|耽《ふけ》った。「ターニャ、そろそろ休憩しな。昼食...
魔女のオラトリオ・短編

暗黒の魔女は、闇の彼方に希う

「魔女のオラトリオ」関連短編――。 ターニャ。あんたの名前は今日からターニャさ。 夢か|現《うつつ》か判然としないその声を感じて、ターニャは慌てて頭を振った。ターニャは顔や手に|痣《アザ》や切り傷の|痕《あと》がいくつもある、痩せた少女だっ...
腰痛剣士と肩凝り魔女

「腰痛剣士と肩凝り魔女」、コソコソ話(というか【あとがき】とか後日談とか)

「腰痛剣士と肩凝り魔女」いかがだったでしょうか。お読みいただきアリガトウゴザイマス。お読み! いただき! ありがとうございます! 読んだ? 読んだよね? ありがとうございます。というわけで、今までほとんど書かなかった「あとがき」なるものを書...
腰痛剣士と肩凝り魔女・本文

#99-02: 降りてきた天使

←previous 俺たちは誰ひとり戻ってこなかった。城からは誰も出てこなかった。一室が派手に燃えていたから、おそらく相打ちになったのだろう。 王国騎士たちはそういうシナリオを描いていた。結局の所、教会の尻尾を掴むには至らなかったが、悪魔た...
腰痛剣士と肩凝り魔女・本文

#99-01: 対価と願掛け

←previous 外に出た俺たちを待っていたのは、六人の王国騎士と、御者と、馬車だった。王国騎士たちの鎧はそれぞれ傷つき、マントもずたずたになっていたが、それでも誰一人欠けることなく俺たちを待っていた。「ただいま」 ウェラがまっさきに声を...
腰痛剣士と肩凝り魔女・本文

#08-05: 最終決戦

←previous 俺はタナさんと手を重ね、身体を支え合いながら、一歩また一歩とエリザと悪魔に近付いていく。強烈な力場、圧倒的な奔流。津波のようなそれに溺れながら、俺たちは進む。悪魔が大きい。エリザの発する圧力も痛いほど。「!」 エリザの姿...
腰痛剣士と肩凝り魔女・本文

#08-04: ガルンシュバーグ

←previous 老人は白い炎を上げて燃えた。 |哄笑《こうしょう》を|遺《のこ》して、その身体は瞬く間に灰になる。タナさんはガルンシュバーグを抜きかける。だが、それをリヴィが止めた。「ママ、こいつはエリザとはちゃうってことでええんやな?...
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