物語

赤の魔神と錬金術師・本文

BD-07-02:エライザの戦い

 暗黒の城はシャリーたちを拒絶することはなかった。大荒れの海の中を渡る橋を、|飛沫《しぶき》の一つも浴びもせずに歩いていく。結果として妨害も歓迎もなく、最初の広間に到達した。「サブラスは私たちに気が付いているはずですよぉ」 シャリーはのんび...
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BD-07-01:最も大切なもの

 なんだなんだ!? ケインは大いに戸惑った。それまで自分たちを拘束していた力が不意に消え去ったかと思えば、次は完全な闇の中に放り込まれていた。自分の指先すら見ることができない、質量を伴った闇だった。「もしかして、俺たち死んだってのか?」 ケ...
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BD-06-04:説得と取引、そして。

 その日の夕方には、シャリーたちはディンケル国家騎士によって身柄を拘束されていた。シャリーたちにその手を逃れる術は最初からなかった。結局、抵抗の一つもできずに捉えられ、エレン聖神殿の一室に監禁されてしまった。 その部屋には大きめのソファが三...
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BD-06-03:神を滅するという望み

 エライザの鋭い視線を受けても全く萎縮することなく、エルドは言う。「そこに出てきたのが、まさかのヴラド・エール神ですよ。もっとも、クレスティアとの対面はまたも実現しやしませんでしたけれどね」「あの方が介入したというのか、人間に」 エライザが...
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BD-06-02:王宮とギラ騎士団の対峙

 ぼんやりとした朝日を背にして、一層黒々として佇む海上の城。エライザは自室からその威容を眺めていた。結局のところ、昨夜は一睡もできていない。城を取り巻く魔力の密度は、まるで荒れた海の|水面《みなも》のように乱高下を繰り返している。空は相変わ...
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BD-06-01:算段

 瞬き一つの後、セレナを加えたシャリーたちは、ケインたちの仕事場兼住居に戻されていた。「あの騎士、なんだったんだ?」  真っ先に平衡感覚を取り戻したケインが、セレナを安物のソファに横たえながら言った。「恐ろしく強いヤツってことはわかったけど...
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BD-05-05:白銀の騎士

 暗黒甲冑の騎士の大剣が机を叩き割る。強烈な打撃音とともに、大量の木屑が跳ね上がる。その一部が細かい|鏃《やじり》と化してケインを襲った。「ちっくしょうめ」 無数の切り傷を負いながら、ケインは唸る。せめて甲冑でなかったなら、まだ付け入る隙は...
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BD-05-04:襲い来るセレナ

 一瞬の暗転の後、シャリーたちは見知った空間に出ていた。あの魔神サブラスと戦った広間だ。 そこは静寂に包まれていて、いまや戦いの痕跡の一つも見当たらない。「どういうことだ? 魔神は? ギラ騎士団の魔導師たちは?」 いち早く立ち直ったケインが...
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BD-05-03:死地へと向かう

 聖神殿の周りには、突如現れた暗黒の城に不安を覚えた人々が大挙して押し寄せていた。すっかり日は落ちていたが、みながみな不安そうな顔をして聖神殿を見上げていた。彼らの寄る辺はやはりエレン神、そして聖騎士エライザその人なのだと、シャリーは改めて...
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BD-05-02:手繰られる陰謀の糸

 オーザは海岸に倒れていたところを、錬金術師ギルドのメンバーに発見された。その後すぐに霊薬による処置がおこなわれたということだった。だがどうやら、シャリーとともに海岸に出て以降の記憶が完全に喪失しており、錬金術師ギルドの中では「魔神の呪いに...
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