小説

大魔導と闇の子・本文

WA-08-07:弾劾

 バカな! そんなバカなことが! ハインツは魔法障壁を容赦なく突き破ってくる光を迎撃しようと、持ちうる全ての力を解放する。カヤリが使ったのは|緋陽陣《ジェルメール・ヅォーネ》。あらゆる闇を|祓《はら》う力を持つ|陣魔法《ヅォーネ》。今のハイ...
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WA-08-06:”Fiat lux!” Et facta est lux.

 光あれ――。 今まさにトバースを喰らい尽くそうとしていた闇を切り払ったのは、少女の声だった。 万策尽き、身動きすらできなくなっていたトバースの手に、小さな掌が重なった。「闇の子……」「カヤリ」 トバースの前に、黒髪に水色の瞳の少女が立って...
大魔導と闇の子・本文

WA-08-05:ハインツの精神世界

 決死の憑依術があまりにも呆気なく成功してしまい、トバースは逆に|狼狽《うろた》えた。ハインツが防御を施していない可能性は皆無であり、トバースがその防御を無意識のうちに貫けた可能性と言うのは、それにも増して低かった。「一人で私を相手にどうし...
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WA-08-04:黄金の龍

 ここに至るまでのサイケデリックな、どこかふざけた感さえある作りの防壁迷路とは雰囲気がまるで違っていた。暗黒の門は、まるで黄泉の国へと繋がっているのではないか――そんなことさえ思わせる。 ヴィーはその深淵の奈落のような門を見上げて、半笑いだ...
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WA-08-03:防壁迷路

 トバースはセウェイの精神へのアクセスに、拍子抜けするほど簡単に成功する。セウェイが咄嗟に経路を作っておいたのか、それともハインツの罠なのかはわからない。だが――。「こいつは……なんてカオスなんだ」 トバースがそんな感想を持ったのも無理はな...
大魔導と闇の子・本文

WA-08-02:仲間

 私に力を貸して! 妖剣テラ! カヤリの強力な思念がグラヴァードたちにも届く。 その途端、カヤリの身体から闇色の放電が発生し始める。妖剣テラとの接続装置は破壊された。しかし、妖剣テラはカヤリの中にすでに《《接続経路》》を確立してしまっていた...
大魔導と闇の子・本文

WA-08-01:憑依

 エクタ・プラムが完全に沈黙した。接続装置の破壊からエクタ・プラムが壊滅するまで、二時間とかからなかった。ありとあらゆるものは燃え、中心部に開いた巨大な穴の中に引き摺り込まれて消滅していった。エクタ・プラムに戻る直前だった騎士たちは、ギリギ...
大魔導と闇の子・本文

WA-07-11:朗々たる贖罪

 カヤリの放つ光が、まるで真昼のように世界を照らす。魔神と化したハインツが放つ闇色の炎が、その白を駆逐しようと噴き上がる。だが、カヤリの放つ輝きは衰えることはなく、その闇の炎を静かに鎮火していく。 カヤリは歌う。 ――闇を切り裂く龍の咆哮 ...
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WA-07-10:カヤリによる断罪

 トバースたちのところに転移して、グラヴァードは周囲を見回す。「カヤリはどうした」「あそこです」 トバースが穴の底を指さした。|擱座《かくざ》した魔神の足元に、カヤリが立っていた。だがその様子は普通とは言い難い。穴の底はまるで星空のようにま...
大魔導と闇の子・本文

WA-07-09:魔神顕現、その時――。

 いつものとは違う暗黒色の鎧に身を包んだグラヴァードは、一切の躊躇なくハインツの胴を|薙《な》いだ。ハインツは背骨付近までばっくりと斬られ、そのまま後ろに倒れた。|夥《おびただ》しい量の血液が焦げた床に広がった。「グラヴァード様、魔力は……...
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