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OreKyu-04-005:利他性と利己性、そして本能

 俺たちはまた地下のあの部屋へと戻った。そしてすっかり空腹になっていたことを思い出し、まずは置いてあったカップ焼きそばを平らげる。こんな時に至ってもこんなものをすすっていられるとは、我ながらなかなか豪胆であるなぁ、なんて思う。 メグ姐さんは...
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OreKyu-04-004:神を創った神を名乗る

 気付けば俺は怒鳴っていた。「AIの気分次第で大事な人間と切り離されてたまるもんか!」「落ち着きたまえ」 暫くじっと黙っていた会長が口を開いた。「安心するが良い。その感情さえなくなるのだ。遠からず、お互いにな」「冗談じゃない!」「幸福だと思...
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OreKyu-04-003:メモリ最適化のエグゼキューション

 俺は口の中がひりつくのを感じながら、メグ姐さんのキリッとした横顔を見る。メグ姐さんはてっきり怒っているものだと思ったが、その顔はまるで陶器のように冷たかった。表情も血の気もない。「課長……」「大丈夫だ、墨川」 メグ姐さんは右手で俺の左手の...
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OreKyu-04-002:世界は赤く染まる

「不完全?」 俺たちは思わず首を傾げる。会長と社長は同時に頷いた。「あれはゴエティアと結びついて初めて効力を発揮する。今のままでは単に刻印を施していくだけの能力しか持たない」「刻印?」「墨川」 俺の二の腕あたりをつついて、メグ姐さんが声を掛...
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OreKyu-04-001:会長と社長

 最上階は会長専用フロアで、俺たちはそれ以外の階の訪問を許されなかった。ボタンが反応しなかったのだ。 部屋の前に立つと、前触れもなく電子ロックが外れ、ドアがスライドして開いた。その奥に広がっていた広大な部屋は、文字通りにがらんとしていた。向...
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OreKyu-03-009:一時離脱の交渉と結果

 俺たちは再びゴエティアの部屋に戻り、中央の巨大なディスプレイの前に立った。それとほぼ同時に、そこに霞の姿が浮かび上がる。『鍵は見つけられたのかしら?』「いいや、残念ながらまだだ」 俺は首を振る。メグ姐さんは俺の左手を握り締めていた。「とこ...
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OreKyu-03-008:シンギュラリティ到来のためのパスフレーズ

 頼むと言われたのは嬉しいのだが……。しかし勝つ算段は未だに生まれてきていない。そもそも人間二人で考えたところで、あの高速演算装置を有したゴエティアに|敵《かな》うはずもない。「だがな、奴は何かキーワードを求めているんだと思う」「キーワード...
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OreKyu-03-007:頼むぞ、相棒

 どうしたらこの状況を打破できるというのか。俺とメグ姐さんはその部屋から出て廊下で考え込んだ。廊下と言っても奴の、ゴエティアの監視下であることは疑いようもない。完全に情報を秘匿することなど不可能だという事は分かっていた。「ここからは出られそ...
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OreKyu-03-006:仕組まれた五年間

 その瞬間、その大きなディスプレイの中に一人の女性の姿が現れた。それは俺の良く知る——。「嘘だろ」 思わず声が掠れる。そこにいたのは俺の彼女、|桐上《きりかみ》|霞《かすみ》だったからだ。『ようこそ、次なる世界の入口へ』「なぜその姿なんだ、...
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OreKyu-03-005:魂の在処

 知恵比べ? 押せないエレベータのボタンを連打しながら、俺は頭の中で今までのやり取りをぐるぐると|反芻《はんすう》する。「おい、墨川、いつまでエレベータにこだわっている。ついでに言えば階段もダメだった。トイレが使えるのはまだ良心的だな。うん...
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