import GSL
#54Sh56+A5pON44Gr5ZCQ44GN5Ye644GV44KM44KLMjDjg5/jg6rlvL7jgYzjgIHlrqTlhoXjgpLjgrrjgr/jgrrjgr/jgavliIfjgoroo4LjgYTjgabjgYTjgY/jgII=
while(target):
adj = combat.aim(target)
for i in range(x):
combat.fire(adj)
無節操に吐き出される20ミリ弾が、室内をズタズタに切り裂いていく。まるで闘技場のようにひたすらに広いその空間には、暴風雨のような弾頭を遮るものは何一つとしてない。屹立する分厚いコンクリートの壁がまるで乾いた泥壁のように砕かれていくのみだ。
「誘いこまれるとは」
彼女は舌打ちをしてから、奥歯を噛み締めた。敵は見たことのないタイプの四足戦車。平均204.15メートル先にある四門の機関砲の砲口が、彼女をじっと見つめていた。
「弾切れ?」
いや――。
その瞬間、彼女は横に飛んでいた。曳光弾が脇をかすめ、それを追うようにしてタングステン合金のHVAPが空気を加熱しながら空間を抉り抜いていく。
「機械化人間も形無しね」
間断のない攻撃を前に、距離も詰められない。弾切れを起こすのが先か、致命弾を受けるのが先か。
その時だ。
『よう、相棒』
彼女の頭の中に直接、よく響くアルトが聞こえてくる。彼女は再び舌打ちをしつつ、宙を舞うコンクリートの粉塵を手で払う。
「遅い、何してたの、ミキ」
『退路を作ってたんだよ』
「あたしが倒されたら退路も何もあったものじゃないでしょ」
『頭部だけは回収してやるよ』
「よく言う」
彼女は距離を詰めようと、左右にスライドしながらも徐々に前進し始める。機関砲の弾が彼女の頭や肩を掠め飛んでいく。四足戦車がじりりと後退を始める。砲弾が彼女の左腕に連続的に命中。付け根付近から吹き飛ばす。だが、彼女は止まらない。バチバチと放電する左肩が、飛来する曳光弾と共に薄暗い空間に彩を添える。
> tDtc = getDistance(target)
> display(tDtc)
距離、99.7メートル。一気に駆ける。彼女の速力なら、あと三秒もあれば近接戦闘距離に持ち込める。
彼女が入ってきて以来、固く閉ざされたままになっていた扉が赤熱して弾け飛んだ。夥しく上がった蒸気の向こうに、一つの人影が現れる。
『アキ、右に跳べ』
「りょ」
> adj = combat.aim(target)
> while(target):
> combat.fire(adj)
弾雨に曝されながら、彼女――アキは右へ跳んで地面を転がった。四足戦車から打ち付けられる弾丸が、地面を掘り起こして迫ってくる。アキは長い黒髪を振り乱しながら転がり続ける。
空間が光る。熱量と衝撃波が半球形の歪みを生む。四足戦車の上部構造物もろともに、機関砲がまとめて蒸発する。
> dmg = getDamage(self)
> if dmg > ...
「マジ手こずらせてくれて」
アキは呟いた。まだ終わってはいない。搭乗者を引きずり出さなければならない。この空間を支配している局所ネットワークはまだ生きている――ということは、この四足戦車の搭乗者は未だ活性しているということだ。
「手伝うかい?」
ミキが重たい金属質の足音を立てながら近づいてくる。両腕、両肩、背中、ふくらはぎ、そして腰に、これでもかというほどの火器を装備した機械化人間、それがミキだ。対するアキは近接戦闘モジュールで全身を固めている。機械化人間――二人とも、いわば戦車と同じ扱いの兵器である。
「周囲を警戒してて、ミキは」
「りょ」
周囲っつったってねぇ、と、ミキはぼやいた。光ファイバー製の白い頭髪が、大破した四足戦車から吹き付けてくる熱気に揺れる。ミキは再度視覚に投影されている情報を確認してから、肩を竦めた。
「ここの施設の兵器群は、そいつを何とかすれば全て停止する。バイパスネットワークはアカリが制圧済みだし」
「なる」
> tDtc = getDistance(target)
> display(tD...
四足戦車の目前に迫ったアキは、その右手に刀を生じさせた。ナノマシンで構成された試作近接兵器だ。アキの視界には、その四足戦車から発されている電子信号が見えている。それは施設全体のネットワークに作用するものであることまでは、アキの電脳が解析済みだ。この四足戦車が、この要塞の中央制御装置なのだ――それはアカリの事前調査で分かっている。
「カタギリさんは?」
アキの問いに、ミキは「んー」と情報を確認する。
「出るまでもないってさ」
「そう」
管理職は気楽でいいなと、アキは心の中でぼやく。
「アキ」
「わかってる」
ミキの言葉に答え、アキは右手を振るった。左腕は失われたままだったが、放電は止まっていた。
「まったく」
アキは四足戦車から現れたその姿に、また肩を竦めた。
「またまたGSLなの」
「やっぱりだねぇ」
> getWeapon(Swords)
> combat.swords(target, getCombatSituation(self, target, ev))
ミキは両肩のグレネードキャノンをその青白い人影に向けた。GSLと呼ばれたその人影は、一見すると青白く光る女性型のマネキンのようだった。精巧な人形特有の不気味な表情が、その眼球が、ぬらりとアキとミキを眺めやる。その両手にはいつの間にかそれぞれ長剣が握られていた。
「最近コレばっかね」
「仕事が増えてうれしいだろ」
「冗談じゃないわよ、ミキ」
> combat.swords(target, getCombatSituation(self, target, ev))
アキは吐き捨てる。それと同時に、GSLは斬りかかってくる。電光石火の攻撃を前に、右腕しかないアキは思わず後ろに逃げる。ミキはニッと笑って問いかける。
「選手交代?」
「冗談言わないの」
> combat.swords(target, getCombatSituation(self, target, ev))
> combat.swords(target, getCombatSituation(self, target, ev))
> combat.swords(target, getCombatSituation(self, target, ev))
コンクリートの床が抉り出されるほどの力で地面を蹴り、アキはGSLに肉薄する。GSLは怯んだ様子もなく迎撃体制に入る。アキの刀が一閃する。GSLの右手の剣が粉砕される。ナノマシンの結合が解かれたのだ。流れるような二撃目が、左手の剣も消滅させる。ミキは両目を赤く光らせながらニッと笑った。
> judge = getCombatSituation(self)
> if...
「――行けるな?」
「もちろん」
即答したアキの刀が、GSLを袈裟懸けに切り裂いた。
> dmg = getDamage(self)
> if dmg > ...
「答えろ、GSL」
仰向けに倒れたGSLの顔を見下ろし、アキは言った。GSLの瞳孔がアキを映す。
「お前たちの目的は何? 世界平和を実現するために生み出されたはずのお前たちが、なぜ人類を襲う。何がお前たちを統率している」
info.speak("我々は全知にして最先。人を導くために生み出された者なり。我々は、福音の徒なり")
「またか」
刀をGSLの喉元に突きつけながら、アキは吐き捨てる。ミキは「参照元が同じなんだろうさ」と腕を組んだ。
info.speak("聖女に剣を持たせてはならない。我々は万物の霊長にして、人の導かれるべき姿なり。我らに従え。さもなくば、人類は終焉る")
「確かに。このスピードで制圧していたら、数ヶ月ともたないでしょうね」
アキは光の粒子を噴き上げ始めたGSLを見て、手にした刀を消滅させた。勝負はあったのだ。
「もっとも――」
「このアタシたちをどうにかできればの話だけどね」
そう言ったミキは「任務完了、撤収する」と呟いて、アキの右肩を小突いた。
#5Lu75YuZ5a6M5LqG44CC44K544OG44O844K444KS56e76KGM44GZ44KL44CC
コメント