KenIsshiki

ロストサイクル・本文

LC-02-001:濡れた女子大生

 四月は何の滞りもなく過ぎた。タケコさんは週に三回ウチにやってきて僕に勉強を教え(主に模擬試験の答え合わせとそれについての詳細な解説なのだが)、夏山ルリカは部活を半ば引退したために、土曜日を含めて週三回はウチにやってきていた。夏山ルリカは学...
ロストサイクル・本文

LC-01-004:レヴェリィ

 それから間もなくタケコさんは部屋から出て行ったが、暫くの間、一階にてうちの母と何やら喋っていたようだった。その間、僕はウトウトし始めた夏山ルリカを尻目に、与えられた過去問題に猛然と取り掛かっていた。可能な限り撃破してくれる――僕はそう決意...
ロストサイクル・本文

LC-01-003:サリンジャーと魂の場所

 家には母がいて、待ってましたと言わんばかりに三人分の紅茶とお菓子を出してくる。お菓子と言っても、市販のメジャーなモノのアラカルトである。うちの母には、本人曰くケーキ作りの才能はなかったらしい。 高校三年、十七歳男子な僕としては、食べ物はい...
ロストサイクル・本文

LC-01-002:見えたもの、残らないもの

 ゴーキとチョッカには、その場でおさらばしてもらった。タケコさん的には一緒に乗せてもOKだったようだが、とにかく今は、これ以上の厄介ごとは御免だった。チョッカがどういうパーソナリティかまでは知らなかったが、俺の中の対人センサーは限りなくレッ...
ロストサイクル・本文

LC-01-001:真っ赤なWRX

 四月は春先とはいえ、桜はまだ一ヶ月も先になるはず。例年GWに合わせて桜は咲く。北海道におきましては、GW=桜であるから、必然的にその時期は、|円山《まるやま》公園がジンギスカン臭くなる。カラスも肥え太る季節である。 そして四月と言えば新年...
ロストサイクル・本文

LC-00-000:タケコとショーガツ

 なぜだかどういうわけだかは僕にはサッパリなわけなんだけれど、明日、四月九日に高校三年生の始業式を迎える今になって、突然家庭教師が現れた。まぁ、うちの親が勝手に契約したんだろうけど、僕と親は多くの高校生がそうであるように、あまりコミュニケー...
ロストサイクル

ロストサイクル – INDEX

ジャンルとしては「現代ファンタジー」ですが、要素的には「SF」「ホラー」を含みます。以前カクヨムにて連載していたものの加筆修正版となります。世界を救うのは、ほかならぬメガネの高校生――に恋した美人女子大生!?どういう因果か知らないけれど、僕...
短編・本文

スターダスター

 目に見える星の数を知っているかい? そう、わかりはしないんだ。だって、人それぞれ視力は違うし。見えてる色だって少しずつ違っている。そんな中で一律「何個」ということは本当にばかばかしい。まして推定の数を誇らしげに語るのもまたばかばかしいと思...
短編・本文

エピローグ

 こうして一つの話は終わらずに終わる――。 私はそんな感傷に浸りながら、一人、心の中で決意する。あと少しでエピローグ。あと二話、いや、あと一話もあれば、エピローグに|辿《たど》り着けるだろう。だけど、どうしても続きが書けなかった。頭の中では...
短編・本文

戦士の憂鬱

 こんなシケた店で飲んでるなんて、あんたよそ者だろ? わかるぜ、一人旅って奴だろ。こんな酔っ払いに絡まれても顔色変えねぇとか、本当に腕っぷしが強いんだな。俺にだってそのくらいわからぁ。 なぁ、ところであんた、光の戦士って奴を知ってるかい? ...
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