KenIsshiki

赤の魔神と錬金術師・本文

BD-07-03:仮説のまま

 眼下に凄まじい戦闘を見ながら、ケインは「なぁ、アディス」と乾いた声を発する。「どうして俺たち、こんな観戦モードになってんだ?」 「さぁ……。そもそも《《ここ》》がどこなのかもわかりません。僕らが異常に強い魔力に包まれているっていうのだけは...
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BD-07-02:エライザの戦い

 暗黒の城はシャリーたちを拒絶することはなかった。大荒れの海の中を渡る橋を、|飛沫《しぶき》の一つも浴びもせずに歩いていく。結果として妨害も歓迎もなく、最初の広間に到達した。「サブラスは私たちに気が付いているはずですよぉ」 シャリーはのんび...
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赤の魔神と錬金術師・本文

BD-07-01:最も大切なもの

 なんだなんだ!? ケインは大いに戸惑った。それまで自分たちを拘束していた力が不意に消え去ったかと思えば、次は完全な闇の中に放り込まれていた。自分の指先すら見ることができない、質量を伴った闇だった。「もしかして、俺たち死んだってのか?」 ケ...
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BD-06-04:説得と取引、そして。

 その日の夕方には、シャリーたちはディンケル国家騎士によって身柄を拘束されていた。シャリーたちにその手を逃れる術は最初からなかった。結局、抵抗の一つもできずに捉えられ、エレン聖神殿の一室に監禁されてしまった。 その部屋には大きめのソファが三...
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BD-06-03:神を滅するという望み

 エライザの鋭い視線を受けても全く萎縮することなく、エルドは言う。「そこに出てきたのが、まさかのヴラド・エール神ですよ。もっとも、クレスティアとの対面はまたも実現しやしませんでしたけれどね」「あの方が介入したというのか、人間に」 エライザが...
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BD-06-02:王宮とギラ騎士団の対峙

 ぼんやりとした朝日を背にして、一層黒々として佇む海上の城。エライザは自室からその威容を眺めていた。結局のところ、昨夜は一睡もできていない。城を取り巻く魔力の密度は、まるで荒れた海の|水面《みなも》のように乱高下を繰り返している。空は相変わ...
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BD-06-01:算段

 瞬き一つの後、セレナを加えたシャリーたちは、ケインたちの仕事場兼住居に戻されていた。「あの騎士、なんだったんだ?」  真っ先に平衡感覚を取り戻したケインが、セレナを安物のソファに横たえながら言った。「恐ろしく強いヤツってことはわかったけど...
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