セレスの大地

大魔導と闇の子・本文

WA-02-04:防波堤

 二人は洗い場で入念に髪や身体を洗った後、大きな湯船に勢いよく突入した。カヤリはまだ場所慣れしてはいなかったが、見たこともない大きさの湯船に少なからず興奮していた。 「あったまるねぇ」  ヴィーがカヤリを後ろから抱きながら息を...
大魔導と闇の子・本文

WA-02-03:前を向く力にならない過去になんて、何の価値もないんだよ

 動く通路の先にあったのは、巨大すぎる空間だった。イーラの村の集会場なら十や二十が余裕で収まる広さがあり、天井も恐ろしく高かった。多くの人々が、難しい会話をしながら忙しく行き交うその白い空間は、灯りもないのに明るかった。ただ、恐ろしく無機...
大魔導と闇の子・本文

WA-02-02:暗中のダイアログ

 自動的に開く扉を抜けて建物に踏み入ると、カヤリたちの背後で扉が閉まった。途端に外の賑やかだった灯りが消え失せ、全くの闇に染まる。なのに自分の手や隣にいるヴィーの姿だけはやけにはっきりと見える、カヤリにとっては極めて不可解な闇だった。床も...
大魔導と闇の子・本文

WA-02-01:ヴィーとカヤリ

 男はハインツと名乗った。だが、カヤリにはそれ以外は何も伝えようとしなかった。カヤリが魔法で連れてこられた都市は「エクタ・プラム」という名前だった。イーラ村とは何もかもが違っていて、カヤリは|眩暈《めまい》を起こしたほどだった。  ...
大魔導と闇の子・本文

WA-01-02:いざない

 叔父の家の外には、村人が押し寄せていた。手に手に武器になりそうなものを持ち、ギラギラした目でカヤリを見ていた。カヤリは中尉の背中に隠れるようにして、駐在所までの道を歩き始めようとした。  その時、中尉が胸を|掻《か》き|毟《むし》...
大魔導と闇の子・本文

WA-01-01:カヤリの覚醒

 エクタ・プラムの崩壊から遡ること八年、紫龍歴797年のある冬の日。アイレス魔導皇国の最北端、「龍の角」と呼ばれる地方にある村・イーラに、一人の女の子が生まれた。村はひどく貧しく、そして年中寒かった。針葉樹すらまばらな、潮風吹きすさぶこの...
大魔導と闇の子・本文

WA-00-00:劫火に沈む街

 居住人口三千あまり。しかし各地から無数の人々が流入しては去っていく、不夜の都。その魔導都市は、皇国のどこよりも発展し、栄えていた。強固な結界によって守られ、魔物や異形といった外敵から守られた、アイレス魔導皇国北部における唯一の安全地帯だ...
治癒師と魔剣・本文

DC-99-99:治癒師と魔剣

 クォーテルの亡骸に祈りを捧げていたファイラスの眼前に、いきなり抜き身の剣が現れた。見事な柄飾りの施された漆黒の長剣である。その剣の持ち主は、暗黒の大魔導、カヤリだった。 「これは?」「受け取れ」  半ば強制的にその剣を持たさ...
治癒師と魔剣・本文

DC-19-03:無制御と魔神

 グラヴァードは自らが構築した氷壁の結界の中に、魔神ウルテラと共に浮かんでいた。地面も空もないこの結界の内側では、双方ともに自由に動き回ることは難しい。その上、外界への影響力もほとんど及ぼすことができない。グラヴァードは抜身の剣を下げたま...
治癒師と魔剣・本文

DC-19-02:成敗

 イレムの纏っている威圧感は凄まじいものがあった。その眼力に、さしものバレスも身が|竦《すく》んだ。しかしそれでもなんとか机の後ろに逃げ込む。クォーテルの死体を踏みつけながら。 「|神帝師団《アイディー》の一人として、この事態は看過...
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