大魔導と闇の子

大魔導と闇の子・本文

WA-02-01:ヴィーとカヤリ

 男はハインツと名乗った。だが、カヤリにはそれ以外は何も伝えようとしなかった。カヤリが魔法で連れてこられた都市は「エクタ・プラム」という名前だった。イーラ村とは何もかもが違っていて、カヤリは|眩暈《めまい》を起こしたほどだった。 極寒の雪景...
大魔導と闇の子・本文

WA-01-02:いざない

 叔父の家の外には、村人が押し寄せていた。手に手に武器になりそうなものを持ち、ギラギラした目でカヤリを見ていた。カヤリは中尉の背中に隠れるようにして、駐在所までの道を歩き始めようとした。 その時、中尉が胸を|掻《か》き|毟《むし》って倒れた...
大魔導と闇の子・本文

WA-01-01:カヤリの覚醒

 エクタ・プラムの崩壊から遡ること八年、紫龍歴797年のある冬の日。アイレス魔導皇国の最北端、「龍の角」と呼ばれる地方にある村・イーラに、一人の女の子が生まれた。村はひどく貧しく、そして年中寒かった。針葉樹すらまばらな、潮風吹きすさぶこの村...
大魔導と闇の子・本文

WA-00-00:劫火に沈む街

 居住人口三千あまり。しかし各地から無数の人々が流入しては去っていく、不夜の都。その魔導都市は、皇国のどこよりも発展し、栄えていた。強固な結界によって守られ、魔物や異形といった外敵から守られた、アイレス魔導皇国北部における唯一の安全地帯だっ...
大魔導と闇の子

大魔導と闇の子-INDEX

少女は、十歳にして大魔導の力を発現し、その結果、故郷の村を灰燼に帰してしまう。 大魔導ハインツは、この稀有な能力を持つ少女――カヤリ――を妖剣テラの贄に選ぶ。そして部下の"炎使い"ヴィーに命じて、テラとの魔力結合実験に挑む。 ハインツとハインツの所属するギラ騎士団の真の目的に気が付いた大魔導グラヴァ―ドは、部下の"人形師"トバース、闇エルフの"歪曲者"セウェイらに命じ、カヤリの奪取とハインツの殲滅を命じる。 グラヴァ―ドとハインツ、二人の大魔導は、カヤリを巡って睨み合う。 互いの掲げる正義はぶつかり合い、そして――。
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