OreKyu-07-001:再会へのイニシャライズ

|<∀8∩Σ!・本文

 メグ?

 俺は俺に触れていたはずの手を探していた。息を殺してもメグの気配を感じることはできない。すぐそばにいたはずなのに触れられない。呼ぼうにも声が出ない。

 俺は膝をかがめ、周囲をまさぐった。メグが倒れているかもしれないと思ったからだ。だが、どこにもいない。そもそも俺が最初にどこにいたのかもわからなくなった。そして気が付いたのは、この生暖かい部屋には、壁がないことだ。床や天井さえ定かではないが、時々手に触れるものはある。だが、それはメグではない。何か、漠然としたものだ。皮膚感覚すらよくわからない。ただ、暗いのだ。そして誰もいない。

 メグ、どこにいるんだ?

 俺は必死に呼びかけ続ける。しかし声も出ないのだ。いらえがあるはずもない。さっきまで俺の背中を支えてくれていた手はない。誰も俺を守ってくれない。

 例えようのない喪失感を覚えた。誰もいないという事実に打ちのめされた。何も見えない。何も聞こえない。何にも触ることが出来ない。

 終わってしまったのか?

 全て、終わってしまったのか?

 考えても答えなんて見つかるはずもなく。問いかけようにも声が出ない。

 メグ!

 どこにいるんだ、メグ!

 せっかく――。

「心配するな」

 突然に、そんな声が降ってきた。まさに降ってきたとしか表現できない具合で、その声は俺の中に届いた。

「すぐ会えるから」

 ふわりと反響するその声は、すごく懐かしいもののように感じた。

 ――すぐ会える。

 俺はその言葉に導かれるようにして、闇に落ちていった。

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