魔女のオラトリオ

魔女のオラトリオ・短編

ある剣の追想 -07.ブルーオパール

「魔女のオラトリオ」関連短編――。前話 あの後、私は首尾よく少年と再び出会うことができた。というより、そうでなければこの少年は助からなかっただろう。なに、少しだけ私の力を分け与えただけだ。彼が切り殺してきた兵士たちの生命のほんの何割かを少年...
魔女のオラトリオ・短編

ある剣の追想 -06.少年

「魔女のオラトリオ」関連短編――。前話 あの魔女がこの世界から消えてから、いったいい何年が|経《た》ったのか。とはいえ、私はそんなことには興味もなかったが、あれだけの被害を受けた王国は|未《いま》だ存続しているようだった。だが、どうやら相変...
魔女のオラトリオ・短編

ある剣の追想 -05.女公爵

「魔女のオラトリオ」関連短編――。前話 この魔女の少女は、女公爵エリザ・レヴァティンと名乗った。そして自分は至高の魔女なのだ、とも。彼女は私を手に入れてからというもの、連日連夜人を殺した。エリザの宮殿を訪れた旅人、メイド、将軍や若い兵士、自...
魔女のオラトリオ・短編

ある剣の追想 -04.魔女の少女

「魔女のオラトリオ」関連短編――。前話 いくつかの時代を経て、再び目を覚ました私は、|仄《ほの》暗い場所に安置されていた。さながら高貴な身分の者の遺体のように。私の意識が何かで遮断されている。……魔法か。そう察知するのにそれほど時間はかから...
魔女のオラトリオ・短編

ある剣の追想 -03.異民族の王

「魔女のオラトリオ」関連短編――。前話 次に私が目覚めたのは、その王国が滅び、次の王国も異民族に侵略されて滅んだ後だった。人の血生臭い営みが、私を目覚めさせるらしい。異民族の王は厳重に封印を施された私を見つけるなり、滅ぼした王国の重鎮たちを...
魔女のオラトリオ・短編

ある剣の追想 -02.貴族

「魔女のオラトリオ」関連短編――。前話 鍛冶師の次に私を手にしたのは、王国の有力貴族だった。王国といっても、今の王国が成立するよりもずっと以前の話だ。当時は今からは想像もつかぬほどの戦乱の世、まさに群雄割拠の時代だった。その貴族は私を王国の...
魔女のオラトリオ・短編

ある剣の追想 -01.鍛冶師

「魔女のオラトリオ」関連短編――。 今となっては遠い昔。思い出そうとするだけでも|意識《め》が|眩《くら》む。それほどに遠い昔。 私はある鍛冶師によって生み出された。この世で最も硬い金属、|白銀鋼《しらがねはがね》と呼ばれる特殊な鉱石で作ら...
魔女のオラトリオ・短編

暗黒の魔女は、彼岸の色に染まる(5)

「魔女のオラトリオ」関連短編――。←(4)へ マグダレーナは身体を拭いて着替えを済ますと、「さて、ターニャ」と声をかける。「ここまで聞いたんだ。アタシを見限ったって構いやしないよ。殺したっていい」「いえ」 ターニャは首を振る。「わたしは先生...
魔女のオラトリオ・短編

暗黒の魔女は、彼岸の色に染まる(4)

「魔女のオラトリオ」関連短編――。←(3)へ マグダレーナは意を決したように息を吸い、静かに話し始める。「その昔、アタシには息子がいたのさ。あんたよりもずっと小さかったね」「子どもが……」「アタシはその時も医者だったんだ。もちろんその頃はア...
魔女のオラトリオ・短編

暗黒の魔女は、彼岸の色に染まる(3)

「魔女のオラトリオ」関連短編――。←(2)へ ターニャは表情を|強張《こわば》らせたまま、マグダレーナの長身を見上げる。マグダレーナはターニャの肩を叩くと、「荷物をまとめよう」と言った。「先生、あの、先生の部屋の……」「あれはアタシの自己満...
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