小説

腰痛剣士と肩凝り魔女・本文

#06-06: 白き翼と鎖の悪魔

←previous エリさん、と、タナさんが呼ぶ。その左手は俺の腰に添えられている。「一応確認するけどさ」「確認無用さ、タナさん。俺は、こいつをただじゃおかない」 俺は頷いた。そして一歩前に出る。「ドミニア。おとなしく眠りにつくならば良し。...
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#06-05: エリさんの出自

←previous ふぅん――そんな声が聞こえた。タナさんのものだ。「それじゃ、聞かせてもらおうじゃないか、魔女ドミニア。もしアタシたちが、あんたと争わない、手も組まない。そういう選択をしたとする。そうしたらあんたは何をする?」『わたしは多...
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#06-04: 魔女たちの目論見

←previous その後、俺たちは一時間ばかり待ってから、例の広場へと出向いた。ちょうど昼時ではあったが、広場には屋台の類は一つも出ていなかった。人々の姿もまばらで、どこか疲れたような表情をしている者が多かった。もしかすると、先日のクァド...
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#06-03: 教会と異端審問官

←previous カディル審問官は、一刻と経たぬうちに俺たちの前に姿を見せていた。相当急いでやって来たのだろう。髪が汗で濡れて額に貼り付いている。昼食の一つも挟んだ後に来るものだと思っていたから、その迅速さには逆に引いた。  タナさんは艶...
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#06-02: 呪われし都市

←previous それからほぼ三日間が経過したが、タナさんはほとんど寝たきりだった。時々意識が戻ることはあったが、たいていは朦朧としていて会話にはならなかった。旅館の従業員も看病を手伝ってくれた。医師については都市の被害が大き過ぎたために...
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#06-01: 重ねる想い、精霊の応え

←previous タナさんは部屋に戻るなり気を失った。本当に糸の切れた操り人形のように、|崩《くず》|折《お》れた。倒れたタナさんは、「ごめん」と|譫言《うわごと》のように何度も呟いていた。幸いにしてリヴィが飛び起きてくれたので、俺はタナ...
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#05-03: 月が、綺麗だね。

←previous 浴場への途中で、ウェラを背負ったリヴィとすれ違った。「ウェラってば、お風呂で限界きてもうてな。浴槽でうつらうつらし始めたもんやから、慌てて引き上げてきた」「おつかれ、リヴィ」「おおきに、パパ」 そう言いつつ、リヴィは俺た...
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#05-02: アタシは自分の生き方を肯定したいだけなのさ

←previous タナさんはベッドの真ん中まで移動すると、俺に背を向けて帯を外した。そしてするりと肩をはだけさせる。頼りないランプの炎が、|嫋《たお》やかにタナさんの白い背中に影を落とす。外はもうすっかり暗い。月すらないのではないかと言う...
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#05-01: くつろぎの時

←previous 異端審問官カディルは、よほどタナさんが怖かったらしい。混乱冷めやらぬこの都市に於いて、驚くべき手際で宿やらなにやらを手配した。もちろん、実際に動いたのはあの初老の役人たちであったわけだが、それでも「異端審問官名義」でそれ...
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#04-08: 魔女の印

←previous さて。 俺は役人と兵士に取り囲まれ――もとい、護られている異端審問官を見た。カディルとか言ったな。広場の周囲には人々が集まりつつあった。野次馬根性ご苦労さまという気持ちはあったが、今はそうでなくては困る。一人でも多くの人...
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