小説

治癒師と魔剣・本文

DC-02-07:焚き火の前で正論を述べる

 それにしても――ケーナは唸りながら馬を進める。「ファイラス様、そもそもギラ騎士団って何をするためにいるんです? 平和な組織とは到底思えないんですけど。大魔導何人もいるんですよね」「国家に所属しない私兵集団、だしな、ギラ騎士団は」 馬車たち...
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DC-02-06:陣魔法

 そして――。「|紫氷陣《エルヴェル・ヅォーネ》」 そう呟くと、暗黒の女性は突き出した腕を一気に振り抜いた。「無詠唱で|陣魔法《ヅォーネ》!?」 ファイラスの驚愕の声は、耳をつんざく大音量に潰される。衝撃波を伴う音の津波を前に、ファイラスた...
治癒師と魔剣・本文

DC-02-05:肉塊の異形

 なんて化け物! ケーナは見る間に巨大化していく肉塊を振り返って舌打ちする。恐怖そのものよりも、生理的嫌悪感が先に立つ。馬車を先に逃し、ケーナとファイラス、そして数名の神殿騎士が|最後尾《しんがり》を務める。「これは食い止めるのは不可能だ。...
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DC-02-04:声と恐慌

 わかりましたと、ケーナは折れる。生き残った脱走兵たちは残らず縛り上げられ、地面に座らされている。輸送しようにも、馬車は負傷した神殿騎士たちで満員だ。脱走兵たちは歩かせるしかない。しかし、歩けないほどの負傷者もいる。 ファイラスと神殿騎士た...
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DC-02-03:躊躇なき一撃

 動揺したのは騎士ばかりではない。ファイラスもまた、不意に高まった魔力の濃度にあてられて、集中を乱されていた。そして立ち直ったのは騎士の方が早かった。大剣を拾い上げると、そのままファイラスを横|薙《な》ぎにしようとする。「!?」 大剣の刃が...
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DC-02-02:森の中での戦い

 たちまちの内に木々に囲まれた一本道での撃剣が始まる。馬車がすれ違える程度の道幅で、逃げ道がない。弓を持つ脱走兵は数名程度だったが、それでも被害は少なくない。兵士たちはよく統率されていた。「こちらも行くぞ!」 騎士が大剣を打ち下ろしてくる。...
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DC-02-01:脱走兵との遭遇戦

 その翌日、ファイラスたちは早々に出発した。夜間には幸いにして襲撃はなかった。だが、神殿騎士たちの疲労やストレスは、初戦でもはやピークを迎えていた。この先どんな障害が待ち受けているのかと想像すれば、その状態もやむを得ない。ファイラスは出現し...
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DC-01-05:試作品五十五号

 薄暮の頃とは打って変わって、穏やかな晩夏の夜だった。神殿騎士たちは隊ごとに集まり、焚き火を囲んでいる。その顔には疲労と緊張がありありと浮かび、とても休めているようには見えなかった。あれだけの死セル兵士たちを見せつけられたのだ、致し方ない。...
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DC-01-04:白骨剣士との戦い

 なおも群れてくる死セル兵士たち。それぞれの戦闘力はたいしたことがない。だが、数が数だ。一人で五体、あるいは六体との同時戦闘を強いられる。しかも相手は力加減を知らない。一撃でも食らえば致命傷だ。そのうえ、倒しても倒しても新手が加わってくる。...
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DC-01-03:罠の渦中、腐肉の兵士

 霧の中に現れたのは無数の死体だった。無論、ただの|亡骸《なきがら》ではない。丘の麓に転がっていた夥しい数の兵士の|骸《むくろ》だ。それらがまるで意志を持っているかのように剣や槍を手にして、ゆっくりとファイラスたちに向ってきていた。「総数不...
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