腰痛剣士と肩凝り魔女・本文

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#04-01: タナさんの過去

←previous その日の昼、混乱の収まらないベラルドの城から、俺たちは出発した。ガナートが「これ以上迷惑をかけたくない」と言ってきたからだ。しばらく滞在してガナートの補助をすることも考えなくはなかったが、ガナートは「お前たちにはもっと大...
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#03-06: 女公爵エリザの伝説

←previous どうしたものかな? 迫ってくる騎士たちを見、溶けた地面を見、俺は考える。「魔女って言葉にずいぶんわかりやすい反応してたな」「そうだねぇ」 タナさんは険しい表情で考え込んでいる。迫りくる騎士などどうでもいいと言わんばかりの...
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#03-05: 導火線

←previous キース派が黙ってるわけはないと思っていた。だが、まさかこんなすぐに城を取り囲んでくるようなことが起きるとは思わなかった。まるで全部用意されていたかのような周到さだった。城壁は城内にいたキース派の騎士によって開けられていた...
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#03-04: 形見と呪い

←previous 翌朝、俺が目を開けると、タナさんと娘二人はすでに着替えまで済ませていた。タナさんは黒いドレス、ウェラは子供用の動きやすそうな、しかし上品な刺繍の施された衣服、リヴィは黒い男性用の簡易礼装だった。「ウチのが男の子用言うのが...
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#03-03: タナさんの告白

←previous このまま屋敷にとどまっていてもあまり良いことはなさそうだ――という直感めいたものはあったのだが、なにしろ今の俺は身動きができない。ガナートの部下によってこの豪華な客室に連れてこられたところまでは良かったが、そこまでだった...
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#03-02: 貴族の血

←previous 俺たちは夜中に差し掛かる頃になって、ようやくベラルド子爵の邸宅――というより城――に到着した。その巨大で豪奢な建物が、ベラルド子爵の権勢を物語っている。王から辺境を任される領主というのは、必然その権力が増すようにできてい...
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#03-01: 竜族の少女

←previous 赤毛の少女はリヴィと名乗った。大きな青い瞳が、今の戦いの興奮からか、夜の町灯りを反射して|爛々《らんらん》と輝いていた。「よろしゅうな。おじさん、おばさ――」「やり直しだよ、リヴィ」「あ、はい。おねえさん!」「よろしい」...
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#02-05: 狂った精霊

←previous 翌日の夕方、まもなく夜になろうかという頃になって、俺たちは大きな街に入った。この都市の真ん中に、ガナートとその父の――即ちベラルド子爵の邸宅がある。「なぁ、ガナート」 すっかり観念しているガナートは、もう自由にしてやった...
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#02-04: 魔女狩りの動機

←previous 何より嬉しかったのが、この「幌馬車」という移動手段を確保できたことである。夏の日差しを防ぎ、雨もある程度しのげる。そしてなにより、移動しているにも関わらず、横になっていられるのだ! すばらしい、自動移動手段。とはいえ、今...
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#02-03: 貴族の魔女狩り

←previous カルヴィン伯爵を訪ねる旅は、なかなか進まない。原因は言うまでもなく、俺の腰だ。三時間に一回はタナさんのマッサージを受けたり、湿布や灸を据えてもらったりしていた。ああ、そうそう。タナさんの湿布は実に良いものだった。じわっと...
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