作品概要
いわゆる剣と魔法の異世界ファンタジー。ハイファンタジーです。
「魔女狩り」というキーワードをもとにして、物語は進みます。一般的に「魔女」というのは抽象的な概念な世界ですが、実際に「魔女」は存在している世界です。「悪魔」が「人」にささやき、「人」がそれに耳を貸し、対価を支払うことで契約が成立し、晴れてその「人」は「魔女」になるのです。「魔女」といっても、性別は関係ないのです。このあたりの事情は、作中で語られます。
「魔女」はすなわち「悪魔と人の合わさったもの」です。
しかしその「魔女」たちには「魔女」にならなければならなかった事情というものがあり。利己的なものだったり、生き延びるためだったり、遺言を果たすためだったり……。
魔女たちには、単純な善悪二元論では到底論じ得ない、そういう背景があります。
この「腰痛剣士と肩凝り魔女」では、「悪魔」と手を結ばざるを得なかった「魔女」と、「悪魔」とは因縁浅からぬ関係にある「剣士」が、成り行きのままに手を取り合って旅路を行く物語です。
「人の心」にとっての真の敵とは何か。犯してしまった「罪」、すなわち「過去」とどう向き合うか。
そういうことを問いかけながら進んでいきます。
プリファレンス
魔女狩りって、こんな辺境の地まで及んできたのか。
腰痛に効く温泉があると聞いて、わざわざこの田舎町にやってきた俺は――まぁ、過去のことはいいか――しがない腰痛のおっさんだ。剣は持ってるが、もうしばらく抜いてもいない。馬にも乗れないんだぜ……。なぜか? 腰痛だからさ。
ところが、だ。その温泉に入る前に、俺は「魔女狩り」に遭遇してしまう。まぁ、俺がよっこいしょっと頑張った結果、なんとかなるんだけど、いやぁ、危ない危ない(腰が)
だがしかし、おかげさまで俺とその魔女とよばれた女は、真夜中に町から逃げ出す羽目に。ちなみにこの女ことタナさんは、「魔女を引退した」らしい。理由を訊けば「魔法は肩が凝る」からだそうで……。激しい腰痛持ちとしては、とても同情したいところだ。
そんなことが縁で何となく歩いていた俺は、タナさんに「カルヴィン伯爵に会いに行くよ!」とか言われてしまって驚愕とした。だって、カルヴィン伯爵領といえば、直近の「魔女狩り」発祥の地だぜ?
本当に俺たち、カルヴィン伯爵のところにいくのか? 行けるのか?
俺たちは旅も早々に、ハーフエルフ幼女や、ドラゴンの末裔の娘と旅路を共にすることになる。そしてだんだんと見えてくる真の悪の姿。暗躍する魔女たち、ちらつく教会の影、悪魔の哄笑。そんな険しい旅に、俺はついていけるのか。腰がすごく心配だ。とにかく腰だ。腰が不安だ。
――剣を抜けない剣士(俺)と、魔法を使わない魔女(タナさん)の旅路は果たして……。
人物紹介
本文目次
前編
01: 辺境の温泉宿にて
02: 娘たち
03: 闇の気配
04: 敵
- 04-01: タナさんの過去
- 04-02: 城塞都市
- 04-03: 魔女狩りと処刑台
- 04-04: 青い焔
- 04-05: 魔女と元魔女
- 04-06: アタシの中の悪魔が囁くのさ
- 04-07: 魔女たち
- 04-08: 魔女の印
後編
05: 安全地帯
06: もう一つの敵
- 06-01: 重ねる想い、精霊の応え
- 06-02: 呪われし都市
- 06-03: 教会と異端審問官
- 06-04: 魔女たちの目論見
- 06-05: エリさんの出自
- 06-06: 白き翼と鎖の悪魔
- 06-07: 向こう百年黙ってな!
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